徒然コラム

ちいさな看護の炎。

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2020年の時点で、日本国内の潜在看護師の人数は71万人を超えるといわれています。

潜在看護師とは、看護師資格の有資格者で看護の仕事に携わっていない人のことをいいます。

現在、私も看護師資格をもちながら看護師として働いていないので、潜在看護師のうちの1人です。

 

私は、3月中から看護の仕事(派遣)をするつもりでいました。週に1~2回のペースで、兼業ライターとして働いていこう、そう思っていました。

だけど、コロナウイルスが流行したことで、看護師として働くことを先延ばししていました。

 

 

日々、看護の最前線で戦っている人たちが、コロナウイルスに感染しているニュースが流れる。

そのたびに、おそらく私だけではなく潜在看護師のなかの誰かも、今こうして安全な家のなかに閉じこもっている自分に無力感を感じている人もいるのではないかなと思います。

 

 

自分が選択をすれば、今まさに人手不足な病院へ飛び込んでいくこともできる。

だけど、私はそれを選択しない。

東日本大震災のときも、そうだった。

今回のコロナウイルスでも、そう。

 

 

選択はしないけれど、力になれるならと思う自分もいる。

無能さと勇気の無さに苛まれながら

ちいさな看護の炎はずっと心のなかの隅っこで明るく燃え続けていることも、思い知る。

 

 

看護学校の初めての授業で先生から「学生のうちに恋をして、お付き合いをしておきなさい。それが良い看護のヒントとなるから」といわれたこと。

戴帽式で、暗い講堂でみんなでロウソクを灯して、初めてナースキャップを被らせてもらって心が震えた日のときのこと。

新しいナース服を着て、走り回っていた大学病院でのこと。

気難しい年配の患者さんが、初めて心を開いて笑ってくれた日のこと。

自分と同い年の患者さんを、看取った日のこと。

 

 

思い出す。

泥水を飲んだ日もあったけど、看護の楽しさを学んだこともある。

潜在看護師の71万人の人達はいろんな気持ちも思い出しながら、こういうときに葛藤しているんじゃなかろうかと思う。

 

 

私は息子くんを妊娠していたとき、目の前でバイク事故を目撃したことがあった。

大きな交差点のど真ん中でバイクに乗っていた人が倒れて、動けなくなっている。軽トラックとぶつかった様子だった。

私は確か、妊娠8カ月目くらいだった。

旦那さんは迷いなく車を路肩に止めた。

私は、車のドアを開けて、そのまま交差点の真ん中めがけて走っていた。

「おい!バカ!!!」旦那さんの声が後ろから聞こえていた。

幸い、周りのすべての車がバイクが転倒していることに気付いて動きを止めていた。遅れてやってきた旦那さんと、その倒れている人を歩道へ移動した。

足を負傷している様子だったけど、幸い大けがではなく意識も明瞭だった。

 

 

私はあのとき、すでに看護の仕事から離れていたけれど、心の中にちいさな看護の炎が燃えていることにやっぱり気付いた瞬間だった。

頭で考えるのではなく、その場で最も命の危険のある現場へ直行すること。その現場へ直行したら、何が足りないか何をするべきかを瞬時に判断して動くこと。

10年間かけて、看護の仕事のなかから教わったこと。

 

だから、頭で考えるのではなくて、あの現場に出会って足が勝手に走りだしていた。

後から考えれば、もっともっと慎重に行動するべきだったと、交通事故に自分も巻き込まれなかったのは本当に運が良かっただけだと思うけれど。

 

 

こうしてブログ記事にするのも憚られるくらい、今の私は役立たずで臆病者だと思う。

最前線で自分の命を懸けて、命を守ろうとしている人達に感謝と尊敬の念を捧げずにはいられない。

コロナウイルスに関することはあまり記事にはしないつもりでいるんですが、最近心のなかがもやもやしていた原因がそれだったんだと気づいて、書き残しておきたかったんです。

まとまりませんが、1日も早く終息しますようにと、願うばかりです。

 

 

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