3000文字チャレンジ

とうもろこし協奏曲【3000文字チャレンジ】

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こんばんは!小春です(*’▽’)

少し前に、3000文字チャレンジのお題に「とうもろこし」が出ました。

どれだけ間が空こうと、このお題は書こうと決めていました。

理由は、私が心から大好きな穀物だからです。

 

 

それでは、大手ハンバーガーチェーン店を思い出してみてください。

メニューに「スイートコーン」があるんです。

「アスパラガス」でもなく「グリンピース」でもなく、「コーン」です。

つまりは、大手ハンバーガーチェーン店もコーンの実力を認めているということを意味しています。

「アイツがいるなら、任せるか・・・!」と重要なサイドメニューの1つを担わせているのですね。

 

 

敬愛するケンタッキーも然りです。

「コーンサラダ」とメニューにありますが、実際にはコーンのみのメニューです。

カーネルおじさんも、一目置いているとうもろこし。

 

 

そして、私の食生活に「とうもろこし」は無くてはならない大切な存在なのです。

サラダを作ればコーン缶半分を使用し、シチュー・グラタンを作れば、コーン缶丸々1缶。

ハンバーグでも、コーン缶を丸々1缶ですね。チーズハンバーグは、我が家には存在していません。ハンバーグの上には常に山盛りのコーンが盛られるので、コーンハンバーグとして提供されます。

味噌ラーメンにおいては、言うのも憚られるくらいのコーン漬けです。

 

 

 

ここで、お祭りの縁日を思い浮かべてみてください。

左のお店にはとうもろこし焼きが売っていて、右のお店にはイカ焼きが売っている。

隣に立っているのは、付き合いたての彼氏。

 

 

私はこの日、お母さんに着付けてもらった鮮やかな朝顔柄の紺色の浴衣を着ている。

髪の毛は綺麗にアップのお団子にして、下駄はお母さんのお下がり。

時間をたっぷりとかけてめかし込んできた、大切な日。

 

 

できれば粗相は避けたいところなのだけど、焼きとうもろこしとイカ焼きの匂いはするりと私の心を掴み取りにくる。

「初デートなんて、関係無いじゃない」

焼きとうもろこしとイカ焼きは、甘い言葉で私に語りかけてくる。

 

 

 

焼きとうもろこしを食べれば、ニコっ!と微笑んだときに歯に挟まったとうもろこしを付き合いたての彼氏に見せるリスクがあり

イカ焼きを食べれば、イカのタレを口の周りにつけながらワイルドにイカに被りつく姿を見せることになってしまう。

 

焼きそば・お好み焼きも惹かれるところだけど、強敵の青のりが行手を阻む。

 

まったく、お祭りのメインのご飯もの達は、女子に楽をさせてはくれない。

チョコバナナも可愛いように見えて、チョコが高確率で歯につきやすいので初デートには非常に難易度の高いデザートだと思う。

しかし、静かに綿あめを食べて済むほど単純なものじゃあないんだ。

 

 

縁日の満足度は、メインのご飯ものでどれを選択するかにかかっていると言っても過言ではない!のだ。

 

 

 

浴衣を着てきてくれた彼氏に少し、どきどきしながらも、脳内はどのメインメニューを選ぼうかとフル回転になっている。

例えばここで、大好きな焼きとうもろこしを選択したとする。

焼きとうもろこしの正しい食べ方は、かぶりつき一択なのだ。

茹でとうもろこしのように、上品に1列ずつパラパラと指で押しながらむくわけにはいかない。

 

 

あぁ、でも、どちらも本当に良い匂い。

どちらかは、確実に食べたい。

お腹はペコペコだ。

さて、どうする・・・?

とりあえずラムネでも飲んで、落ち着こうじゃないか。

 

 

 

つまり、お祭りの初デートでイカ焼きと競るくらいのポジションに焼きとうもろこしは居るということを意味しています。(私調べ)

こんな困難な選択に迫られたとき、屋台にあったら良いのにと思うのが「じゃがバタコーン」です。

これは、屋台で売られている通常のじゃがバタにただコーンを乗せただけの簡単メニューなのだが、屋台気分が味わえて本当に美味しい。

 

蒸したイモに、バターとコーンを添えるだけ。とうもろこしファンの人には、是非試してみてもらいたい。

とうもろこし好きの思いを満たしてくれて、比較的難易度が低いじゃがバタとのコラボなら安心して食べられる。

 

とうもろこしにかぶりつく必要がないから、歯に挟まってしまう心配も無いだろう。

 

スプーンで1さじ、口に入れて

「美味しいね♡」

と笑い合いながら、カップルで仲睦まじく食べられる屋台メニューだと思う。

とうもろこしがほんのりと醤油で炙られていたら、もう、それだけで御馳走メニューだ。

 

 

 

私はここで、決断をする。

今日は、焼きとうもろこしだ!

 

「エルヴィン君、私、焼きとうもろこしにする」

颯爽と、列に並ぶ。

醤油が少し焦げた焼きとうもろこしを、おじちゃんが紙にくるんで渡してくれる。

 

 

少し人混みから遠ざかった裏路地で、まだほこほこに温かな焼きとうもろこしを取り出し、思い切りかぶりつく。

瑞々しいとうもろこしは口の中で甘くプチプチプチっと弾けて、焦げた醤油はスパイス代わりとなり甘味をより美味しく感じさせてくれる。

「あぁ・・焼きとうもろこしにしてホントに良かった」

ホッとしながら、彼氏と仲良く焼きとうもろこしにかぶりついていく。

 

 

 

しかし、なのだ。

盛大にかぶりついたお陰で、歯の隙間のありとあらゆるところにとうもろこしが挟まっているような気がする。

 

ここは、お手洗いへ行こうか・・?

と思っている矢先、あなたは

「どうする?射的やってみる?」

と私に尋ねる。

「う、うん!エルヴィン君がやってるところ、応援する!」

「そうか、じゃあちょっと見ててね」

 

 

 

エルヴィン君が素晴らしい命中力で次々と商品を打ち落とす中

私は、歯に大量に挟まったコーンをどうするかで頭の中がいっぱいなのだ。

さりげなくお手洗いに行くべきなのか・・・

 

 

今なら的に集中してるよ?今がチャンス?

と、なんとかコーンを取るタイミングを必死に伺っている。

今なら、大丈夫だ・・・!

エルヴィン君は、的に狙いを絞っている。

そーーっと、右手を上げてコーンを取ろうかとしたとき

 

 

「小春は、どれが良いかな?」

エルヴィン君はこちらをくるり!と向いて、爽やかな笑顔でどの商品が良いのか聞いてくれる。

ビクーーーー!と驚いて、手を瞬時に下ろす。

「えーーと!!あれが良いね!!」

勢いに任せて指を適当に指したのは、欲しくもない巨人のぬいぐるみだった。

 

 

 

「今、この時!!この一戦に・・!!」

エルヴィン君の目の色がクワっと変わり、腕を大きく回し射的の鉄砲を構える。

横顔が、とても凛々しい。

「続けぇーーーーーーーーーーーー!!!!!」

ダン!ダン!ダン!!

やはり、百発百中なのだ。

 

 

私は歯に挟まったとうもろこしの存在も忘れて、しばし、呆然とエルヴィン君の勇姿に見惚れていた。

「はい、巨人。」

エルヴィン君が差し出してくれた巨人のぬいぐるみは、どこかで見たことがあるのに思い出せなかった。

「ありがとう」

精一杯の笑顔で感謝を伝える。

このとき、歯を見せないように笑った自分に「ファインプレー!」と思わずエールを送りたくなってしまうほどだった。

 

 

ぬいぐるみはあんまり可愛くはないが、よく見ると愛嬌があるような気もしてくるから不思議だ。初デートでもらったのだから、大切に部屋に飾るべきだろう。

巨人のぬいぐるみを小脇に抱えて、また歩き出す。

 

 

「そういえばさ、小春はとうもろこしが好きなの?」

「好きだよ。なんで?」

「いや、一目散に焼きとうもろこし屋さんに近づいていったから好きなのかなと思って」

「とうもろこしは、大好きなんだ」

キッパリと言う。

 

 

「とうもろこしは、美味しいもんな~」

爽やかに笑うエルヴィン君の歯には、黄色く輝くとうもろこしが挟まっていた・・!

 

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