こんばんは!小春です(*’▽’)
いつもゾクゾクするような怖いミステリーばかり読んでいるから、ちょっとあったかな気持ちになれるようなミステリーが読みたい。
そう思って、いろいろと探してみたところ「ナミヤ雑貨店の奇跡」という本のおすすめ記事とたくさん出会ったので読んでみることにしました。
東野圭吾さんが描くナミヤ雑貨店の奇跡とは?
正統派ミステリーを執筆する印象があった、東野圭吾さん。文章はとても男性らしいといいますか、質実剛健なイメージがあったんです。
私はそんな東野圭吾さんの作品の中では、断トツで「百夜行」が大好きです。少しさびしい主人公達、けれど、とても上下巻を貫く骨太なストーリーに強く惹かれます。
「白夜行」のイメージがとても強かった東野圭吾さんですが、また素晴らしいストーリーと出会えたと嬉しく感じる一冊でした。
ナミヤ雑貨店の奇跡はオムニバス形式のストーリー展開です。
舞台は、過去と現在を繋ぐナミヤ雑貨店。
全5章から成るストーリーは、盗みを働いている青年グループが迷い込んだナミヤ雑貨店から始まります。
ナミヤ雑貨店は、確かに人の気配がない廃墟であるにも関わらず、過去の人達からの手紙が続々と届きます。手紙を読んでみると、そこには真剣な悩みが綴られており、ナミヤ雑貨店の店主にアドバイスを求める内容でした。
青年達はその過去の手紙に返事を出して、過去の人達の人生に影響を与えていきます。
いくつかのストーリーのなかには、ハッピーエンドではないものもあります。
だけど、この小説のなかには一貫してあたたかな空気が流れていて、このストーリーの作者が、誰なのか読み進めていくうちに忘れてしまうんです。
熱中してしまう小説だと特にそうなるんですが、作者の存在が薄れてしまうくらいにストーリーが存在感をもって迫ってきます。
「これはファンタジーのジャンルを得意とする女性作家の作品ですよ」ともし言われれば「そうなのか」と納得してしまうくらい。
ミステリーだと思い込んで読み進めていたんですが、過去と現在を繋ぐナミヤ雑貨店にトリックはありません。つまり、ジャンルとしては、ファンタジー小説。
ストーリーによって、現代の若者達・過去の相談者・ナミヤ雑貨店の店主などに視点が切り変わっていきます。タイムトラベルをしながらそれぞれの人達のストーリーが少しずつ繋がっていって、最後には1本の線になります。
この記事を読んでくださった人にも本を読んでもらいたいからあんまりネタバレしたくないんですが、私は第二章の「夜更けにハーモニカを」がとても好きです。
この第二章のストーリーから他のストーリーへと枝葉が伸びているようで、ラストまでこのストーリーがしんしんと切なく心に染み込んでくるんです。
最後のとても好きな一節を引用します。
どうか自分を信じて、その人生を悔いなく燃やし尽くされることを心より祈っております。
「ナミヤ雑貨店の奇跡」より引用
ナミヤ雑貨店に私も手紙を投函できたらいいのにな、と読むうちにそう強く思っていました。
このままでいいのか?
進路は合っているのか?
ときどき、そんな答えに困るようなことを誰かに相談したくなるんです。「そんなん聞くなよー!」って言われるようなこと。
もちろん相手を困らせてしまうから、そんな相談はできないんだけれど。
でもきっと、ナミヤ雑貨店の店主ならこの引用に書いたような内容を返してくれるんだろか…?
「ナミヤ雑貨店の奇跡」は奇跡を信じたくなるクリスマスシーズンに、もう一度読み返したい小説です。
見ず知らずの人との間で奇跡が起こることもあるし、家族や自分自身のなかで奇跡が生まれることもある。
信じて、今日もぽちぽちと書いてゆこうと思います。
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